組織再編を行う際に、手間がかる手続きの一つが債権者保護手続きです。公告方法が電子公告であれば、官報掲載+ホームページ掲載で終了ですが(官報やホームページの端っこなんてあまり見られないので、異議を申し出たり、質問をしてくる人は経験したことがない)、公告方法が官報公告だと、官報での公告に加え個別催告が必要なので、債権者のリストアップ・個別に送付・質問に対応(送られた側からすると「何これ?」と思う。特に個人)という手間が発生します。
とすると、公告方法を電子公告にしておけばいいんじゃん?と思ってしまいますが、それだと決算公告の際に貸借対照表の「全文」を掲載しないといけなくなってしまいます。官報公告であれば、貸借対照表の「要旨」でOK(会社法440条1項、2項)。有報提出会社でなければ、なるべく会社の財務諸表は晒したくないですよね。

では、どうするか。あらかじめ定款を変更して公告方法を電子公告にしておけば、債権者異議申述公告を官報+電子公告でできます。(ただし、上場会社を含む公開会社の場合は株主総会の開催自体に時間とお金がかかるので、非公開会社・特にグループ内の完全子会社で用いることができる手法)
公告方法は登記事項なので登記申請が必要ですが、公告掲載までに登記が完了している必要はなく、登記の申請をしていればOKです。

登記研究905号P155
「組織再編に係る債権者保護手続に際して、知れたる債権者への各別の催告を省略するために、定款上の公告方法を官報から日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公告に変更をする場合において、公告方法の変更の登記の申請日より前の日を公告日又は公告の開始日とする、当該変更後の公告方法による公告をしたことを証する書面を添付してされた組織再編に係る登記の申請は、受理することができない。」



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管理人

某上場企業の法務部門責任者。 コーポレート法務を中心に、法務の実務で経験したことを記載していきます。

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